検証台・ベルン 1902–1909

ベルンの特許局

七年間、アルベルト・アインシュタインはベルンで他人の発明を審査した。今度はあなたの番だ。光の信号で駅の時計を合わせ、決して動かない六つの発明を却下しよう。

審査官の机での七年

机に向かうアルベルト・アインシュタイン(1905 年ごろ、ベルン)
ベルンのアインシュタイン、1905 年ごろ。画像: Lucien Chavan. パブリックドメイン, ウィキメディア・コモンズ経由 (出典)

1902 年 6 月 23 日、当時 23 歳のアインシュタインは、ベルンのスイス連邦知的財産局で「三級技術専門職」として働き始めた。卒業後、大学の助手の職は得られなかった。この仕事は、同級生マルセル・グロスマンの父親の口添えで決まった。机には、砂利選別機や電動タイプライターなど、あらゆる特許出願が届いた。

1905 年の奇跡の年はこの時期にあたる。1907 年、まだ特許局にいた彼は、のちに人生でいちばん幸せだったと語る考えにたどり着いた。自由に落ちている人は自分の重さを感じない。1909 年に特許局を去り、チューリッヒ大学の員外教授になった。

思考実験・ベルン 1905

時計ゲーム:ジュネーブ、ベルン、チューリッヒ

離れた場所にある二つの時計が「そろって進む」とは、どういうことだろう。アインシュタインは相対性理論の論文の冒頭に、まさにこの問いを置いた。光の信号で三つの駅の時計を合わせてみよう。簡単そうだが、信号そのものにも時間がかかる。

たとえば私が「あの列車はここに 7 時に着く」と言うとき、それはおおよそ「私の時計の短針が 7 を指すことと列車が到着することは、同時の出来事である」という意味である。Albert EinsteinZur Elektrodynamik bewegter Körper、Annalen der Physik 17 巻(1905 年)、893 ページ・ドイツ語からの翻訳

インタラクティブ・思考実験

ベルンの時計を合わせる

129.5 km95.5 km 直線距離(一直線に単純化) ジュネーブ チューリッヒ ベルン
µs

ジュネーブ

2.0 s 遅れている

µs

ベルン

親時計:基準の時刻

µs

チューリッヒ

3.0 s 進んでいる

スローモーション:ゲームの 1 秒は 250 マイクロ秒(µs、100 万分の 1 秒)。各時計の小さな針は 1000 µs で一周する。

ベルンには親時計がある。12 時ちょうどに、ベルンは「今ちょうど 12 時」という光の信号を送る。チューリッヒとジュネーブは、信号が届いた瞬間に時計をその時刻に合わせる。

ゲームの時計は 100 万分の 1 秒まで示す。大事なのは原理で、1905 年の時計技術ではない。計算には光の信号を使っている。電信線を流れる電流ならもっと遅いが、方法は変わらない。

もっと知りたい人へ:計算

信号の旅の時間。光は 1 秒に 299 792 km 進む。1 マイクロ秒では 0.3 km 弱だ。ベルン―チューリッヒ(直線距離 95.5 km):95.5 ÷ 0.2998 ≈ 318.6 µs。ベルン―ジュネーブ(129.5 km):≈ 432.0 µs。三つの町はほぼ一直線に並んでいるので、ゲームでは直線として扱う。

アインシュタインの規則(1905 年)。光の信号が A の時刻 tA に A を出発し、B の時刻 tB に B で反射され、A の時刻 t′A に A へ戻る。tB − tA = t′A − tB なら二つの時計はそろっている。だから B は、tA に往復時間の半分を足した値に合わせればよい。

列車から見ると。列車は v = β·c で走る。ローレンツ変換により、列車の時刻は t′ = γ·(t − v·x/c²)。列車にとって「列車がベルンにいる」(x = 0、t = 0)と同時の出来事はすべて t′ = 0、つまり t = v·x/c² = β·(x/c) を満たす。β = 0.6 なら、チューリッヒの時計(x/c ≈ 318.56 µs)はベルンより 0.6 · 318.56 ≈ 191.1 µs 進み、ジュネーブの時計は 0.6 · 431.96 ≈ 259.2 µs 遅れている。同時に、列車にとって路線は γ = 1.25 分の 1 に縮む。

本物の列車なら?時速 100 km では、ベルンとチューリッヒのあいだの「今」は約 30 ピコ秒(1 兆分の 30 秒)しかずれない。だから日常では誰も気づかない。

審査

机の上の六つのファイル

以下の特許出願は架空のもので、名前も日付も作りものだ。だが、それらがつまずく自然法則は本物だ。このままでは動かない部品を見つけ、反している原理を答え、ファイルに印を押そう。どのファイルを却下したかは、あなたのブラウザだけが覚えている。

インタラクティブ・審査

六つの特許ファイル

6 件中 0 件を却下

連邦知的財産局・ベルン

出願 第 1 号 · 受付:1905 年 3 月 14 日

架空のファイル・実在の出願ではありません

硬い棒による瞬間電信機

出願人: テオドール・フリンク(電信機械工、ビール)

発明者の主張

「長さ 30 万 km の鋼の棒が電鍵とベルをつないでいる。電鍵を押すと棒全体が前に動き、遠い端のベルが同じ瞬間に鳴る。こうして私の知らせは光より先に届く。」

1・このままでは動かない部品はどれ?

2・どの原理に反している?

3・判定する

答えと理由

完全に硬い棒は存在しない。一方の端を押すと、その押しは波として金属の中を伝わる。鋼の中では秒速 6 km 弱だ。30 万 km 進むには約 14 時間かかるが、光ならおよそ 1 秒。どんな物質も光より速く押しを伝えることはできない。もしできたら光より速く知らせを送れてしまい、原因と結果の順序が入れ替わってしまう。

計算: 300 000 000 m ÷ 6000 m/s = 50 000 s ≈ 13.9 時間・光:300 000 km ÷ 299 792 km/s ≈ 1.0007 秒

もっと詳しく:特殊相対性理論