先生方へ
授業で使う
45分の授業ブロックが6つ、印刷できるワークシート、プロジェクターモード、実験を自分のページに埋め込むための道具をそろえました。登録もCookieも不要です。
45分の授業の流れ
どのブロックも同じ4つのステップで進みます。説明するのは実験で、授業ではまず全員が予想を決めるようにします。
- 1
予想の賭け
5分
プロジェクターに問いを1つ映します。説明の前に、全員が挙手で(A・B・C)予想を決めます。まだ誰も答えを知りません。大切なのは、先に決めることです。
- 2
調べる課題
20分
一人または二人組で、自分の端末で取り組みます。具体的な観察の問いが3つあり、実験へ導きます。まず予想し、それから確かめます。
- 3
まとめ
15分
黒板の前でみんなで。何が見えたか、そこから何が言えるか。各ブロックの要点を用意してあります。
- 4
応用
5分
考え方を新しい場面に当てはめる問いです。宿題にもできます。
6つの授業ブロック
答え、解説、よくある思い違いは折りたたんであるので、何を見せるかは先生が決められます。各ブロックに印刷用のワークシートがあります。
学年は目安にすぎず、特定のカリキュラムに対応させたものではありません。既習事項や学校制度は異なります。
特殊相対性理論:同時性と時間の遅れ
-
1
予想の賭け
5分走っている列車の両端に雷が落ちる。線路脇から見ると、2つの落雷は同時だった。列車のちょうど真ん中に一人の乗客が座っている。彼女には何が見えるか。
- A2つの閃光が同じ瞬間に届く。
- B先頭の閃光が先に届く。
- C最後尾の閃光が先に届く。
教員用の解答
正解: B
彼女は先頭の光に向かって進み、最後尾の光からは遠ざかる。光はどちらの側からも同じ速さ c で届く。だから先頭の閃光が先に届く。彼女は真ん中にいるので、「先頭に先に落ちたはずだ」と結論する。彼女にとって2つの落雷は同時ではない。
-
2
調べる課題
20分自分の端末で、一人または二人組で。同じ問いがワークシートにもあります。
速さを 0 % c にして「スタート」を押す。列車の真ん中の M′ は2つの閃光をいつ見るか。次に 50 % c にして比べる。
答え
0 % c では2つの閃光が同じ瞬間(500 ns 後)に届く。50 % c では、M′ は先頭の閃光 B を約 334 ns 後に、後方の閃光 A を約 1001 ns 後にようやく見る。
「列車から見る」に切り替え、40 % c と 80 % c のときの2つの落雷の時間差を読み取る。時間差は2倍か、小さいか、大きいか。
答え
40 % c で約 437 ns、80 % c で約 1334 ns。2倍ではなく3倍あまり。係数 γ のせいで、時間差は速さよりも速く増える。
光時計を開き、99.9 % c にする。船内で1年たつ間に、地球では何年たつか。
答え
約 22.4 年(γ = 22.4)。50 % c ではわずか 1.15 年。
-
3
まとめ
15分黒板の前でみんなで。要点:
- 光の速さはどの観測者にとっても同じ。マイケルソン・モーリーの実験などがこれを支えており、理論の出発点になっている。
- 「同時」は絶対ではない。離れた場所で起きた2つの出来事は、ある観測者には同時でも別の観測者には同時でないことがある。見えるものと測るものは違う。光が進むのにかかる時間を差し引く必要があるからだ。
- 動く時計は係数 γ = 1/√(1 − v²/c²) だけゆっくり進む。日常では γ − 1 はごく小さい(時速100 kmで約 4 · 10⁻¹⁵)。光速の 99.9 % では γ は 22.4。
- 時間の遅れは何度も測定されている。上層大気から来る高速のミューオン、飛行機に載せた原子時計(ハフェルとキーティング、1971年)、人工衛星の時計。同時性の相対性も同じ理論の一部で、これらの計算すべてに入っている。
くわしく知りたい人へ:計算
光時計:光のパルスが距離 d だけ離れた2枚の鏡の間を往復する。静止していると1回の「チク」は Δt₀ = 2d/c。時計が速さ v で横に動くと、パルスは斜めの道を進む。1回の「チク」の時間 Δt のあいだに光は c·Δt 進み、時計は v·Δt 進む。片道分に三平方の定理を使うと (c·Δt/2)² = d² + (v·Δt/2)²。d = c·Δt₀/2 を入れると Δt = Δt₀ / √(1 − v²/c²) = γ·Δt₀ となる。
-
4
応用
5分終わりの1問、または宿題として。
光の速さの 99.9 % でシリウス(8.6 光年先)まで行って戻ってくる。地球にいる双子の姉妹にとって旅は何年か。あなたにとっては何年か。(「双子の旅」の実験を使う。)
答え
地球では約 17.2 年、船内では約 0.77 年(およそ9か月)。単純化のため、折り返しは一瞬で、加速は考えない。
よくある思い違い
思い違い「光が届くのに時間がかかるから、時間が遅れて見えるだけだ。」
実際には違う。光が進む時間は、解析の中ですでに差し引かれている。差は本物で、測定できる。飛行機や衛星に載せた原子時計がそれを示している。
思い違い「つまり、同時というものは存在しない。」
実際には存在するが、座標系に対しての話である。同じ場所・同じ時刻の出来事は誰にとっても同時。離れた出来事では観測者ごとに固有の同時性があり、どれも同じように正しい。
思い違い「ならば、2人の観測者のどちらかが間違っている。」
実際には違う。2人が判断しているのは同じ二つの落雷で、それぞれが自分の座標系では正しい。離れた場所で起きた二つの出来事が同時かどうかは、座標系によって変わるからだ。矛盾が生じるのは絶対的な「今」がある場合だけで、そんなものはない。
さらに考えるために学びの旅: 旅 1:「同時」とはどういうことかベルンの特許局
等価原理と重力
-
1
予想の賭け
5分窓のない箱の中にいる。箱は地球の上に置かれているのか、それとも何もない宇宙でロケットがちょうど 9.81 m/s² で上へ押しているのか。正しいのはどれか。
- A箱の中でボールを落とす実験をすれば、どちらの状況かわかる。
- B小さな箱の中でのどんな実験でも、2つの状況は区別できない。
- C光線だけが2つを区別できる。
教員用の解答
正解: B
どちらの状況でも、放したボールは 9.81 m/s² で床に届き、光の振る舞いも同じになる。これが1907年のアインシュタインの着想で、狭い範囲では重力と加速は区別できない。(とても大きな箱なら潮汐力の違いが現れるので、この主張は小さな箱に限られる。)
-
2
調べる課題
20分自分の端末で、一人または二人組で。同じ問いがワークシートにもあります。
「ボールを放す」を押す。箱A(地球の上)と箱B(ロケット)で何が起こるか。2つの加速度を比べる。
答え
どちらの箱でもボールは 9.81 m/s² で床に落ちる。内側からは違いがわからない。
ライトをつける。光線はそれぞれの箱でどう動くか。なぜ図に「誇張表示」とあるのか。
答え
どちらの箱でも光線は同じだけ下へ曲がる。幅2 mの箱で 1 g のとき、実際の沈みは約 2 · 10⁻¹⁶ m にすぎない。光がこの距離を進むのに約 7 ns しかかからないからだ。図は誇張してある。
「窓を開ける」を押す。どちらの箱が地球の上にあり、どちらが宇宙で加速されているか。内側からそれを知ることはできただろうか。
答え
箱Aは地球の上にあり、箱Bは何もない宇宙でロケットに 1 g で加速されている。窓を閉めていれば、小さな箱の中の何も違いを教えてくれない。
-
3
まとめ
15分黒板の前でみんなで。要点:
- 空気抵抗がなければ、重い物体も軽い物体も同じ速さで落ちる。1971年に月面(アポロ15号)で、ハンマーと羽根が同時に地面に落ちた。
- それは、重力が引く「重力質量」と、加速に逆らう「慣性質量」が等しいからだ。この等しさは約 10⁻¹⁵ の精度で確かめられている(衛星 MICROSCOPE、2022年の最終報告)。
- アインシュタインは、狭い範囲では自由落下が重力を打ち消し、地面に立っていることは上向きに加速されていることと同じだ、と考えた。彼は後にこの考えを自分の人生で最も幸福な考えと呼んだ。
- 帰結:加速する箱の中で光が曲がるなら、重力場の中でも曲がるはずだ。1919年、太陽の近くの星の位置がそれを示した(日食の実験を参照)。ゴムシートの図は曲がった空間だけを示す。ゆっくり動く物体では、時間の曲がりのほうがさらに大きく効く。
くわしく知りたい人へ:計算
光線はどれだけ沈むか。幅2 mの箱で、光は t = 2 m / c = 6.7 ns かかる。加速する箱では床が s = ½ · g · t² = ½ · 9.81 m/s² · (6.7 · 10⁻⁹ s)² ≈ 2.2 · 10⁻¹⁶ m だけ上がる。これは原子核の大きさよりも小さい。つまり地球の近くでは光の曲がりはごくわずかで、太陽のような巨大な質量の近くでしか測れない。
-
4
応用
5分終わりの1問、または宿題として。
宇宙ステーションの宇宙飛行士は浮いている。ステーションは地上からわずか約 400 km の高さを飛んでいるのに。そこには重力がないのだろうか。「浮く」とは本当はどういうことか。
答え
そこでも重力はまだ約 8.7 m/s² あり、地上の値の約 89 % である。ステーションと宇宙飛行士は一緒に地球のまわりを自由落下している。自由落下では、落ちていくエレベーターの中と同じで、重さを感じない。
よくある思い違い
思い違い「宇宙には重力がないから、宇宙飛行士は浮いている。」
実際には軌道上でも重力は地上とほぼ同じ強さだ。宇宙飛行士が浮くのは、ステーションと一緒に自由落下していて、重さを感じないからだ。
思い違い「重いものほど速く落ちる。」
実際にはそれは空気抵抗のせいにすぎない。空気がなければ、質量に関係なくすべての物体が同じように落ちる。アポロ15号が月面で示した。
思い違い「ゴムシートは、ものがなぜ落ちるかを示している。」
実際にはこの図は曲がった空間だけを示していて、シートをへこませるのに重力そのものが必要だ。ゆっくり動く物体では、時間の曲がりが大部分を担うが、シートはそれを表していない。
さらに考えるために学びの旅: 旅 2:なぜすべて同じように落ちるのかベルンの特許局
光電効果
-
1
予想の賭け
5分とても明るい赤いランプでは、金属板から電子がまったく出ない。これをとても弱い紫のランプに替える。何が起こるか。
- Aやはり何も起こらない。ランプが弱すぎる。
- Bごくわずかな電子が、すぐに飛び出す。
- C金属が十分なエネルギーをためるまで待たされてから、電子が飛び出す。
教員用の解答
正解: B
紫の光は1つぶあたりのエネルギー(約 3.1 eV)が赤(約 1.8 eV)より大きい。電子1個に約 2.3 eV が必要なナトリウムのような金属では、紫の光のひとつぶで足り、赤のひとつぶでは決して足りない。明るさは届くつぶの数を決めるだけだ。弱い紫のランプは出す電子は少ないが、すぐに出す。
-
2
調べる課題
20分自分の端末で、一人または二人組で。同じ問いがワークシートにもあります。
振動数のスライダーを低い方から高い方へ動かす。何振動数で初めて電子が金属から出るか。
答え
5.5 と 5.6 × 10¹⁴ Hz のあいだ。5.6 で表示が「電子が放出される」に変わり、0.02 eV と出る。
8 × 10¹⁴ Hz と 12 × 10¹⁴ Hz での電子の運動エネルギーを読み取る。振動数とともにどう変わるか。
答え
1.01 eV と 2.66 eV。振動数が高いほど電子のエネルギーは大きい。10¹⁴ Hz 増えるごとに約 0.41 eV 増える。
E = h · f(h = 4.14 · 10⁻¹⁵ eV·s)で、8 × 10¹⁴ Hz での光のひとつぶのエネルギーを計算し、仕事関数 2.3 eV を引く。結果は表示と合うか。
答え
E = 4.14 · 10⁻¹⁵ eV·s · 8 · 10¹⁴ Hz = 3.31 eV。3.31 eV − 2.3 eV = 1.01 eV。表示とぴったり同じ。
-
3
まとめ
15分黒板の前でみんなで。要点:
- 波のモデルの予想:明るい光ほどエネルギーが大きいので、どんな色でも十分に明るければ、待ち時間のあとで電子を出すはずだ。実測は違う。限界の振動数より低いと、どれほど明るくても(少なくともふつうの明るさなら)何も起こらず、それより高いと電子はすぐに飛び出す。
- 明るさが変えるのは電子の数(電流)だけで、最大のエネルギーは変えない。最大エネルギーは振動数だけで決まる。
- アインシュタインの解釈(1905年):光はひとつぶずつ届き、そのエネルギーは E = h · f。ひとつぶが出せる電子は多くても1個で、E(運動, 最大) = h · f − W(W は仕事関数)。f₀ = W / h より低いと、どのつぶも小さすぎる。
- ミリカンはこの式を実験で確かめた(1914〜1916年ごろ)。アインシュタインが1921年のノーベル物理学賞を受けたのは主に光電効果の法則に対してで、相対性理論に対してではない。光は干渉や回折では今も波の性質を示す。両方の顔をもつ。
くわしく知りたい人へ:計算
E = h · f、h = 6.626 · 10⁻³⁴ J·s = 4.136 · 10⁻¹⁵ eV·s(1 eV = 1.602 · 10⁻¹⁹ J)。W = 2.3 eV のときのしきい値は f₀ = W / h = 2.3 eV / 4.136 · 10⁻¹⁵ eV·s ≈ 5.6 · 10¹⁴ Hz、波長は λ = c / f₀ ≈ 540 nm(緑)。目安:E[eV]= 1240 / λ[nm]。赤い光(700 nm)は 1.8 eV、紫(400 nm)は 3.1 eV、UV-B(300 nm)は 4.1 eV。
-
4
応用
5分終わりの1問、または宿題として。
なぜ紫外線は皮膚の細胞を化学的に傷つけられるのに、赤いランプの光はそうならないのか。(ヒント:光電効果の考え方。)
答え
化学結合を切るには、ひとつぶあたり最低限のエネルギー(数 eV)が必要だ。UV-B のひとつぶは約 4.1 eV、赤のひとつぶは約 1.8 eV しかなく、ふつうの明るさでは、赤いつぶをいくら集めても1回の切断にはならない。強い赤い光は皮膚を温めることはあるが、それは別の効果である。
よくある思い違い
思い違い「明るいランプほど、電子1個あたりのエネルギーが大きくなる。」
実際には違う。明るいランプは出る電子の数を増やすが、最大エネルギーは同じだ。上げられるのは振動数を高めたときだけ。
思い違い「光電効果は、光が粒子だけでできていることを証明する。」
実際には違う。ここでは波のモデルだけでは足りない、ということを示している。干渉や回折には今も波が必要だ。実験によって、光は一方の顔かもう一方の顔を見せる。
思い違い「アインシュタインは相対性理論でノーベル賞を受けた。」
実際には違う。1921年の賞は理論物理学への貢献、とくに光電効果の法則に対して贈られた。
さらに考えるために学びの旅: 旅 3:光は何でできているのか
E = mc²:わずかな質量にどれだけのエネルギーがあるか
-
1
予想の賭け
5分クリップの質量は1グラム。もしその質量の全部を電気エネルギーに変えられたら、どれくらいになるか。
- A約 25 キロワット時。
- B約 2万5000 キロワット時。
- C約 2500万 キロワット時。
教員用の解答
正解: C
E = m · c² = 0.001 kg · (3 · 10⁸ m/s)² ≈ 9 · 10¹³ J。1 kWh = 3.6 · 10⁶ J なので、約2500万 kWh になる。c² の値がとても大きいので、ごくわずかな質量でも莫大なエネルギーに相当する。実際には、クリップを完全に変換できる人はいない。
-
2
調べる課題
20分自分の端末で、一人または二人組で。同じ問いがワークシートにもあります。
「クリップ(1 g)」のボタンを押す。エネルギーをジュールとキロワット時で書き留める。
答え
約 8.99 · 10¹³ J。約2500万 kWh にあたる(表示は 24,965,422 kWh)。
次に「一人の人間(62 kg)」を押す。エネルギーはクリップの何倍か。なぜちょうどその倍率なのか。
答え
6万2000倍(5.57 · 10¹⁸ J)。エネルギーは質量に比例し、62 kg はちょうど 62,000 g だから。
この実験は広島の原爆(約 6.3 · 10¹³ J)と比べている。比較の表示が約「1×」になるまで質量を変える。それは何グラムか。
答え
約 0.7 g:m = E / c² = 6.3 · 10¹³ J / 9.0 · 10¹⁶ m²/s² ≈ 0.7 g。爆発の前後で物質の質量の差は1グラム未満だった。
-
3
まとめ
15分黒板の前でみんなで。要点:
- 静止している物体はどれも静止エネルギー E₀ = m · c² をもつ。c² は巨大(9 · 10¹⁶ m²/s²)なので、わずかな質量が多くのエネルギーに相当する。
- この式は質量が「消える」とは言っていない。系がエネルギーを放出すると、その質量は Δm = ΔE / c² だけ減り、放出されたもの(光や熱)がその分を持ち去る、と言っている。
- 石炭を燃やしたときの質量の変化は約30億分の1で、量るにはあまりに小さい。核反応では測れる大きさになる。ウランが分裂すると約 0.1 %、太陽の中で水素がヘリウムに融合すると約 0.7 %。
- 太陽は 3.8 · 10²⁶ W で輝いている。そのために毎秒約430万トンの質量を失っていて、それを何十億年も続けている。
くわしく知りたい人へ:計算
E = m · c²、c = 299,792,458 m/s なので c² = 8.99 · 10¹⁶ m²/s²。1 g = 0.001 kg なら E = 8.99 · 10¹³ J。1キロワット時は 3.6 · 10⁶ J なので E ≈ 2.5 · 10⁷ kWh。広島との比較:TNT 15キロトンは約 6.3 · 10¹³ J(1 kt = 4.184 · 10¹² J)なので、m = 6.3 · 10¹³ J / 8.99 · 10¹⁶ m²/s² ≈ 7.0 · 10⁻⁴ kg = 0.70 g。
-
4
応用
5分終わりの1問、または宿題として。
太陽は 3.8 · 10²⁶ ワットで輝いている。放射によって毎秒何トンの質量を失うか。(E = m · c² を質量について解く。)
答え
毎秒の Δm = 3.8 · 10²⁶ W / 9.0 · 10¹⁶ m²/s² ≈ 4.2 · 10⁹ kg。つまり毎秒400万トンあまり(より精密な値 3.83 · 10²⁶ W と 8.99 · 10¹⁶ m²/s² で計算すると 4.26 · 10⁹ kg)。太陽の質量は約 2 · 10³⁰ kg なので、これはごくわずかで、何十億年も輝き続けられる。
よくある思い違い
思い違い「速く動く物体は重くなる。」
実際には物体の質量は速さに依存しない。変わるのはエネルギーのほうだ。そのため「相対論的質量」という古い言い方は、今の物理学ではほとんど使われない。ただし一部の教科書にはまだ出てくる。
思い違い「E = mc² は、質量が完全にエネルギーになるという意味だ。」
実際には化学反応や核反応で放出されるのは、質量のごく一部にすぎない。全エネルギーは保存され、それとともに系全体の質量も保存される。放射として出ていくものは、その分の質量も持ち去る。
思い違い「E = mc² は原子爆弾の公式だ。」
実際にはこの式は、ある質量の差にどれだけのエネルギーが対応するかを示す。爆弾は核分裂に基づいていて、核分裂は1938〜1939年にハーン、シュトラスマン、マイトナー、フリッシュによって発見・解釈された。
さらに考えるために学びの旅: 旅 3:光は何でできているのか
日常生活の中の GPS
-
1
予想の賭け
5分GPS衛星は高度約 20200 km を時速約 14000 km で周回している。相対性理論のために、衛星の時計は地上の時計と進み方が違う。1日にどれだけ進むか。
- A約 38 ナノ秒。
- B約 38 マイクロ秒(100万分の1秒)。
- C約 38 ミリ秒(1000分の1秒)。
教員用の解答
正解: B
合計で1日に約 +38.6 マイクロ秒。ごくわずかに聞こえるが、光はこの時間に約 11.6 km 進み、GPSは信号の伝わる時間を測って働く。2つの効果が足し合わさる。衛星の速さが時計を遅らせ(1日 −7.2 µs)、その高さでの弱い重力が時計を速める(1日 +45.8 µs)。
-
2
調べる課題
20分自分の端末で、一人または二人組で。同じ問いがワークシートにもあります。
2つのスイッチをオンのままにして、日数を1日にする。時計の差と、その下の距離を読み取る。
答え
+38.6 µs と 11.6 km(その時間に光が進む距離)。
「弱い重力」をオフにして、速さの効果だけにする。差の符号は何か。衛星の時計にとって何を意味するか。
答え
1日 −7.2 µs(光の道のりで約 2.2 km):速さだけなら、動いている時計の例にもれず、衛星の時計は遅れる。
2つの効果を再びオンにして、日数を30日まで動かす。差は日数とともにどう増えるか。
答え
比例して増える。30日後には +1,158 µs、約 347 km。時計は毎日同じ量ずつ離れていく。
-
3
まとめ
15分黒板の前でみんなで。要点:
- 受信機は複数の衛星からの信号の伝わる時間を測る。光は1ナノ秒に約 30 cm 進むので、時計は数ナノ秒の精度でなければならない。
- 符号が逆の2つの効果:動く時計は遅れる(特殊相対論、1日 −7.2 µs)。弱い重力の中の時計は速く進む(一般相対論、1日 +45.8 µs)。合計では、衛星の時計は1日に 38.6 µs 進む。
- そのため技術者は、打ち上げ前に衛星の時計をわずかに遅く設定する。10.23 MHz は 10.22999999543 MHz になる(アシュビー、2003年)。軌道上では地球の時間と合う。
- GPSは、アインシュタインの2つの理論がどちらも使われている身近な例であり、どのナビアプリも両方に頼っている。
くわしく知りたい人へ:計算
時計の差に対応する光の道のり:c · Δt = 299,792 km/s · 38.6 · 10⁻⁶ s ≈ 11.6 km/日。周波数のずれ:38.6 µs / 86,400 s ≈ 4.47 · 10⁻¹⁰、10.23 MHz · (1 − 4.47 · 10⁻¹⁰) = 10.22999999543 MHz。注意:11.6 km は時計の誤差に対応する光の道のりであり、正確な位置の誤差ではない。すべての衛星に共通する誤差は受信機が自分で取り除くからだ。この数は大きさの目安であり、補正が組み込まれている理由を示す。
-
4
応用
5分終わりの1問、または宿題として。
真上にある衛星からGPS信号が 20200 km を進んでくる。何秒かかるか。光は1ナノ秒にどれだけ進むか。位置を数メートルの精度で知りたいなら、時計には何が求められるか。
答え
20200 km / 299792 km/s ≈ 0.067 秒。1 ns に光は約 0.3 m 進むので、数メートルの精度には約10ナノ秒の精度の時間測定が必要。
よくある思い違い
思い違い「高いところでは、重力が時計をさらに遅らせる。」
実際には逆だ。重力が弱いところほど時計は速く進む。衛星の時計は弱い重力のおかげで進み、速さのせいでそれより小さい量だけ遅れる。
思い違い「スマホは自分の位置を衛星に送っている。」
実際には違う。GPS受信機は聞くだけだ。衛星が時刻と位置を送り出し、スマホはそこから自分の居場所を自分で計算する。
思い違い「相対性理論は理論にすぎず、日常生活には影響しない。」
実際には補正は衛星の時計に組み込まれている。それがなければ、衛星の時計は地上の時計より毎日 38 µs ずつ進んでしまい、それを別の方法でたえず差し引かなければならない。
さらに考えるために学びの旅: 旅 1:「同時」とはどういうことか
科学と責任(1933年と1939年)
-
1
予想の賭け
5分1939年8月、アルベルト・アインシュタインが署名した手紙がアメリカのルーズベルト大統領に届いた。正しいのはどれか。
- Aアインシュタインは何年もアメリカの原爆計画で働いた。
- Bレオ・シラードが手紙を起草し、アインシュタインが署名した。アインシュタインはその後の原爆計画には加わらなかった。
- Cアインシュタインが一人で手紙を書き、原爆計画を率いた。
教員用の解答
正解: B
1939年8月2日付の手紙は、おもに物理学者レオ・シラードが起草し、アインシュタインが署名した。新しい型の爆弾が可能になるかもしれないこと、ドイツがそれに取り組んでいるかもしれないことを警告していた。アインシュタイン自身はマンハッタン計画では働かなかった。アメリカ陸軍は、よく知られた平和主義者である彼を安全上の危険と見なしていた。
-
2
調べる課題
20分自分の端末で、一人または二人組で。同じ問いがワークシートにもあります。
手紙の第1段落を読む。アインシュタインは誰の研究を手紙を書く理由として挙げているか。ウランの使い道として最初に挙げているのは何か。
答え
E・フェルミとL・シラードの最近の研究を挙げている。最初の使い道は、新しい重要なエネルギー源。爆弾が出てくるのは第3段落になってからだ。
爆弾について書かれた段落を探す。手紙はどれくらい確信をもって書いているか。そのような爆弾をどう運ぶと想定しているか。
答え
そのような爆弾は「考えられる」が、連鎖反応そのものより「はるかに不確か」だとしている。船で運んで港で爆発させる爆弾を想定し、重すぎて空輸できないかもしれないとも述べている。1945年には爆弾は航空機から投下されたので、手紙はこの点で間違っていた。1939年の知識は不確かだったのだ。
2ページ目のドイツについての注を開く。手紙はドイツについて何と何を伝えているか。
答え
ドイツは、接収したチェコスロバキアの鉱山からのウランの販売を止めた。そして、ドイツの次官の息子であるフォン・ヴァイツゼッカーがベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所で働いており、そこではアメリカのウラン研究の一部が追試されている。
-
3
まとめ
15分黒板の前でみんなで。要点:
- 1933年春:ヒトラーが政権を握ったあと、アメリカにいたアインシュタインはドイツに戻らなかった。1933年3月28日にアントワープに上陸し、プロイセン科学アカデミーを辞した。1933年10月にプリンストンに着いた。1933年4月7日の法律は、ユダヤ人であることや政治的に望ましくないことを理由に、大学教員を含む公務員を解雇することを認めた。
- 核分裂は1938年12月に発見され(ハーンとシュトラスマン)、まもなく解釈された(マイトナーとフリッシュ)。1939年の夏、シラードはドイツが先を行くのではないかと恐れ、アインシュタインに名前と影響力を貸してほしいと頼んだ。
- 手紙は当時の知識がどれほど不確かだったかを示している。「考えられる」ことを語り、運び方については間違っていた。1945年、原子爆弾が広島と長崎を破壊した。
- アインシュタインは後に核兵器に反対する声を上げ、1955年4月の死の数日前にラッセル=アインシュタイン宣言に署名した。科学者がいつ警告し、沈黙し、あるいは拒むべきかは、唯一の正解がない問いである。資料にもとづいて理由を挙げながら議論できる。
-
4
応用
5分終わりの1問、または宿題として。
研究者は、自分の成果を他の人が後でどう使うかをほとんど知らない。今の例(たとえば人工知能、ゲノム編集、気候研究)を選ぶ。研究者は公表の前にどんな2つの問いを自分に向けるべきか。
答え
唯一の正解はない。意味のある問いの例:誰がこれを何のために使えるか。誰がどれくらいの確率で害を受けうるか。害を減らす方法はあるか。誰が決め、誰の意見を聞くか。理由が述べられていれば認め、1939年と比べる。シラードは政府に警告することを選んだ。
よくある思い違い
思い違い「アインシュタインは E = mc² で原子爆弾を作った。」
実際には違う。爆弾は、1938〜1939年に他の人々が発見した核分裂と、数千人の技術者の仕事にもとづいている。アインシュタインの役割は署名だった。この手紙と、1940年にルーズベルトへ送った別の2通への署名である。
思い違い「アインシュタインはマンハッタン計画で働いた。」
実際には違う。彼は加わっていない。アメリカ陸軍は彼を安全上の危険と見なし、遠ざけた。
思い違い「今から見れば、あの決定は明らかに間違い(あるいは明らかに正しい)だった。」
実際には1939年の人々は結果を知らなかった。手紙自身も、考えられる範囲のことしか語っていない。当時わかっていたことと、その後に起きたことは分けて評価し、それぞれに理由を述べよう。
プロジェクターモードと設定へのリンク
教室の前で使える2つの助けです。
プロジェクターモード
各章にある予想カードつきの十の実験には、下のバーに「プロジェクターモード」のボタンがあります。フォーカスが実験の中にあるときは B キーでも開き、Esc か B で終わります。問いが大きく表示され、挙手で投票するための A・B・C のタイルと、その横に実験が並びます。「実験を見せる」と「答えを見せる」で、クラスに何をいつ見せるかを決められます。
設定へのリンク
操作部を動かすと、その位置がアドレス(実験の # のうしろ)に書き込まれます。「この設定へのリンクをコピー」ボタンで、そのリンクを Moodle、IServ、メール用にコピーできます。開いた人には同じ設定が表示されますが、その人の学習の進み具合には数えられません。
なくても大丈夫
どちらも使わなくてかまいません。実験のページを開いて映し、このページから予想の賭けを読み上げ、挙手で決めます。
実験を埋め込む
実験、言語、見た目を選び、コードを学習プラットフォームや自分のウェブページにコピーします。
プライバシー:Cookieなし、トラッカーなし
埋め込みページにはトラッカーもCookieのコードもなく、外部のスクリプトも読み込みません。フォント、スタイル、スクリプトはすべて albert-einstein.info から届きます。ブラウザのローカルストレージへの書き込みは、そこでは無効にしています。どのウェブページでも同じですが、サーバーはリクエストそのもの(たとえばサーバーログに残るIPアドレス)を見ます。学習プラットフォームによっては、管理者の承認がないと埋め込みページを使えません。 プライバシーポリシー